京森康平: EXPRESSION M

Beijing

2023.09.23 - 10.21

INTRODUCTION

ホワイトストーンギャラリーは、京森康平(1985年生まれ)の新作個展『EXPRESSION M』を2023年9月23日から10月21日まで開催いたします。京森康平はこれまで一貫して装飾とその周辺にまつわる歴史、技術、意味や機能を現代の視点から再解釈し、独自の工芸的なアプローチを加えることで、今日にとっての視覚言語の可能性を模索し、提示し続ける現代装飾家。本展では、宗教美術と装飾の関係性に言及した前回の「IMPRESSION "O"」から転じ、王族や権力者と装飾性の関係にフォーカスした新作群を発表致します。


個展タイトル「EXPRESSION "M"」における"M"とはmajesty(威厳)の頭文字であり、京森が本展においてモチーフとするのは史上で繰り広げられてきた権威ある者たちと装飾をめぐる物語である。画面に描かれるポートレートは皆一様に勲章や刺青、髪飾り、刀剣といった自らの威勢、力の強さや地位の高さを示すためのイコンを身につけている。京森の狙いは、前回の個展「IMPRESSION "O"」を通して宗教における装飾の機能や意義を考察したことに続き、その対になる世界として社会における権力機構における装飾性を扱うことで、これまで人類史において常に存在してきた装飾という存在が私たちの実生活にとってどのような意味を持つのかを考察し、読み解こうとすることにある。

京森康平

装飾の力の一つは視覚的語りの力強さであり、人の手数が膨大に加わることで生まれる密度の高さである。

京森康平

京森が語るように、これまで作家は自身の創作活動において、工芸や染織といった美術の外部にある手工芸の技術を応用し、無数の細工が施された細密な画面を生み出してきた。こうした非美術的な視覚言語とそのプロセスを取り込もうとする試みは、1970年代中期にアメリカで起こったパターン・アンド・デコレーション(P&D)の旗手たちの考え方と重なる。京森はこれまで支配的であったミニマリズムやコンセプチュアル・アートの潮流と距離をとり、あえて装飾や工芸という網膜的かつ指先の技術が生み出す世界を探求することで、オルタナティブなアートの進路を示唆している。同時にそれは非西欧的な、日本やアジア地域に連綿と続いてきた文化を受け継ぎ、提示するような、ポストコロニアルな時代の美術史を紡ごうとする姿勢をも示している。

かつてのP&D作家らの試みは装飾そのものをシミュレーションし、それによって当時の美術動向とは異なった解を導き出そうとするものであったが、京森の関心は装飾それ自体に留まらず、むしろ「私たちにとって《見る》とは何か」「今日においてどのような絵画表現が可能か」というさらに根源的な問いへと進む。時に彼は浮世絵や日本的な工芸のテクニックを自身の作品に応用する。途方もないプロセスを経ながら制作される絵画は、夥しい質量と密度、モチーフ、色彩によって、圧迫するほどの勢いで鑑賞者の視覚に雪崩こみ、言語化され切らない、根源的な体験を提供する。それこそが京森が美術を通して捉えたい世界であり、私たちが常に視覚文化を築き続けてきた根源的な要素なのではないだろうか。

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ABOUT

京森康平: EXPRESSION M
2023.09.23 - 10.21

北京

Sevenstar Street (E.), 798 Art District, No.4 Jiuxianqiao Road, Chaoyang District, Beijing 100015, China
Tel: +86 10 59920796
Opening Hours: 11:00 - 18:00
Closed: 日曜、月曜
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